RODE PSA1+レビュー|天板厚の公表値が割れる
RODE PSA1+を在宅Web会議の視点で徹底リサーチ。デスククランプの対応天板厚がRØDE公式とB&H・Best Buyで70mmと55mmに割れる問題を出典別に検証し、旧PSA1との数値差分まで整理する。
RODE PSA1+は、在宅Web会議のマイクアームを探すと必ず候補に挙がる定番機だ。ただし購入直前で止まる理由は決まっている。「自分の机の天板に取り付くのか」「手持ちの軽いUSBマイクで跳ね上がらないのか」の2点だ。本記事はRØDE公式データシート・PCMag・B&H Photo・Best Buy・国内外の個人レビューを突き合わせ、この2点を数値で確定させる。とくに対応天板厚は出典によって70mmと55mmが逆転しており、販売ページの数字をそのまま信じると机に付かない事故が起こりうる。
RODE PSA1+の基本構造|94gから1.2kgまでを1本で受けるパラレログラム機構
PSA1+はRØDEのフラッグシップ・スタジオブームアームで、マイクを机に固定して360度回転させるための製品だ。RØDE公式データシートによれば、対応マイク重量は94g〜1.2kg、水平リーチ940mm、垂直リーチ860mm、本体自重1.52kg。折りたたんだ状態で長さ500mm・奥行180mm、伸ばした状態で長さ940mm・奥行100mmという寸法まで公表されている。
中核はパラレログラム(平行四辺形)スプリング機構だ。高さを変えてもマイクの向きが保たれるため、姿勢を変えるたびにマイクの角度を取り直す必要がない。RØDE公式は内部スプリングを完全に減衰させ、アーム外周をネオプレンで覆うことで「completely silent operation(完全に無音の動作)」を実現したと説明している。加えてラバー製の接点により、キーボードとマウスのクリック、机への衝撃からマイクを絶縁する設計になっている。
付属品は本体のほか、3/8インチ→5/8インチのネジ変換アダプター、デスクマウントクランプ、ねじ込み式のデスクマウント台座の3点。ショックマウントは同梱されない。
RØDE公式が互換性を明記しているのはPodMic・Procaster・Broadcaster・NT1・NT1-A・NT-USB・NT-USB Mini・VideoMic NTG・Podcasterで、ラベリア・モバイル・ワイヤレス・ヘッドセット型のマイクとSM5ショックマウントだけが対象外とされている。標準ネジ規格のマイクとショックマウントであれば他社製でも装着できる設計だ。
対応天板厚は70mmか55mmか|出典4件を突き合わせると数字が逆転している
本機で最も注意すべき点は、取り付け方式ごとの対応天板厚が、出典によって正反対に記載されていることだ。同じRØDEの資料でも数字が入れ替わっている。突き合わせた結果を並べる。
| 出典 | デスククランプ | ねじ込みデスクマウント |
|---|---|---|
| RØDE公式 製品ページ/PSA1+データシートPDF | 最大70mm | 最大55mm |
| Best Buyが掲載するRØDEデータシートPDF | 最大55mm | 最大70mm |
| Best Buy 公式製品Q&A | 最大55mm | 最大70mm |
| B&H Photo Video 仕様欄(Base Clamp Range) | 55mm(2.2インチ) | 70mm(2.7インチ) |
| (参考)旧PSA1 RØDEデータシートPDF | 最大55mm | 最大70mm |
注目すべきは最終行だ。**旧PSA1では全出典が「クランプ55mm/ねじ込み70mm」で一致している。**そしてPSA1+でも、Best Buyが掲載しているRØDEのデータシート、Best Buyの製品Q&A、B&Hの仕様欄という3系統が同じ55mm/70mmを示している。現行のRØDE公式製品ページと公式データシートだけが、この2つを入れ替えた70mm/55mmを掲げている状態だ。
機構から考えても整合するのは55mm/70mmのほうだ。クランプは天板を上下から挟み込むためネジの可動域が上限になるのに対し、ねじ込み台座は天板を貫通させるので厚みに余裕を持てる。B&Hが「Base Clamp Range 5.5cm」と仕様欄に独立して記載している点も、クランプ側の上限が55mmであることを支持する。
**したがって購入判断は「クランプは55mmまで」という安全側で行うべきだ。**日本の在宅ワークデスクは天板25〜30mm厚が主流で、旧PSA1を検証した国内ブログの弾き語りすとLABOも「一般的な机は25mm〜30mm厚なので、かなり余裕がある」と書いている。この帯域なら方式を問わず問題は起きない。判断が割れるのは、天板が55mmを超える無垢材デスクや、天板の下に補強フレームが回り込んでいて実質的な挟み込み厚が増える机だ。この条件に当たる場合、公式ページの「70mm対応」を根拠にクランプ運用を前提にすると届かない可能性がある。天板に穴を開けられるならねじ込み台座、開けられないなら実測値が55mm以内に収まるかを先に確認しておきたい。
なお、ねじ込み台座は安定性の面では上位互換になる。ゆるだむの実機導入記録では「穴あけ式の台座でデスクに固定すると、やっぱり安定感がすごい。クランプで固定したときよりもさらに安定する」と報告されている。ただしPCMagは同じ方式について「デスクにかなり大きな穴を開ける必要がある」と指摘しており、賃貸や共用デスクでは選べない。
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詳細を見る旧PSA1から何が変わったか|対応重量・リーチ・自重を数値で並べる
RØDEは旧PSA1と現行PSA1+の双方についてデータシートPDFを公開している。両者を並べると、変更点は「耐荷重が広がった」だけではないことが分かる。
| 項目 | PSA1(旧) | PSA1+(現行) |
|---|---|---|
| 対応マイク重量 | 700g〜1.1kg | 94g〜1.2kg |
| 水平リーチ | 820mm | 940mm |
| 垂直リーチ | 840mm | 860mm |
| 本体自重 | 1.74kg | 1.52kg |
| ケーブル処理 | マジックテープ(ベルクロ)ラップ | アーム内蔵ケーブルチャンネル(USB・XLR両対応) |
| 内部スプリング | 記載なし | 完全減衰・ネオプレンカバー |
**リーチを120mm伸ばしながら、自重を220g軽くしている。**アームが長いほど支点にかかるモーメントは増えるため、この2つを同時に達成しているのは構造が刷新された証拠だ。
購買判断に直結するのは対応重量の下限だ。旧PSA1の下限は700gで、これを下回るマイクを載せるとスプリングの張力が勝ってアームが上に跳ね上がり、任意の位置で止まらなくなる。国内ブログのゆるだむはこの現象を「アームが止まらない問題」と呼び、PSA1+で下限が94gまで下がったことで解消されたと報告している。同ブログが載せているのは約220gの撮影用フラッシュライトで、旧PSA1の下限の3分の1に満たない重量でも位置が保持されたという記録だ。
海外のHigh Ground Gamingも同じ論点に触れ、下限94gという値の意味を「HyperX QuadCast Sは私が扱った中でも最軽量級のマイクだが、それでも254gある」と説明している。つまり**現在市販されているUSBマイクは、ほぼ例外なく94g〜1.2kgのレンジに収まる。**下限が効くのは、マイクではなく撮影用ライトやアクションカメラのような軽量アクセサリーを吊るす場合だ。Engadgetも発表時の記事で、PSA1+の狙いを「小型マイクやカメラにも対応する改訂版」と位置づけている。
動作音についてはPCMagの検証が具体的だ。同誌のTim Gideonは旧PSA1について「特定の位置では、キーボードが発生させる振動で内部のスプリングが鳴ることがあった」と述べたうえで、PSA1+では「PSA1で聞こえたガタつきは一切聞こえなかった」と結論している。Web会議中にアームを動かしても、その音が相手のスピーカーに乗らないという一点が、旧型からの実質的な変更点として最も大きい。
もうひとつの実務的な改善がケーブル処理だ。旧PSA1はベルクロでケーブルをアームに縛る方式で、位置を変えるたびにケーブルが引っ張られる。PSA1+はアーム上面に内蔵されたチャンネルにケーブルを収める方式で、USBケーブルとXLRケーブルのどちらにも対応する。PCMagはこの変更を「単純だが価値ある改善」と評している。
PSA1+で妥協が必要な3点|ロック機構・カメラ画角・重量級マイクでの挙動
高評価が集まる製品だが、購入前に把握しておくべき制約が3つある。
**第一に、ロック機構が存在しない。**PCMagが唯一の不満として挙げているのがこの点で、「アームを自由に動かし、最適な位置を見つけたらそこで固定する」というレバー式・クランプ式のロックを備えていない。位置の保持はスプリング張力に依存する。ただし同誌は「動かすには力を加える必要があるため、常時再調整する心配はない」とも書いており、着席したまま話すWeb会議の用途で問題になる場面は限られる。
**第二に、ロープロファイル型ではない。**PSA1+はデスク面からある程度の高さを取る構造で、RØDEはデスク面クリアランスを公表していない。マイクを口元に寄せるとアームがモニターの前を横切るため、ウェブカメラの画角にアームが映り込みやすい。相手に映る画面から余計な棒を消したいという要求には、正面から応える製品ではない。この観点で選ぶなら、上アームの通過高さを数値で公表している製品を検討したほうがいい。比較は在宅Web会議向けマイクアームのランキングで扱っている。
**第三に、上限付近の重量では設置の詰めが要る。**Reddit の r/rode には、PSA1+にShure SM7Bを装着したユーザーから「セットアップ中にアーム全体がグラつく。デスククランプと下部ジョイントの両方が緩く感じる」という報告が投稿されている。SM7Bはショックマウント込みで1.2kgの上限に迫る重量級ダイナミックマイクで、上限付近ではクランプの締め込みとジョイントのテンション調整を丁寧に行う必要があることを示す事例だ。一般的なUSBマイク(250〜600g程度)ではレンジ中央に収まるため、この懸念は当てはまりにくい。
補足として、マイク以外を吊るす場合はアダプターが1つ増える。PSA1+のネジ規格は3/8インチのため、1/4インチ規格の撮影用ライトやカメラアクセサリーを取り付けるには変換アダプターを別途用意する必要がある(ゆるだむの導入記録)。また経年でのスプリング劣化については、現時点で長期使用の検証データが公開媒体に見当たらない。
価格についても幅がある。米国での発売時価格はEngadgetとPCMagがいずれも129ドルと記載している。国内では、ゆるだむが2025年1月時点で約15,000円と記録している一方、本記事執筆時点のAmazonにおけるホワイト(PSA1+W)の価格は¥24,000だ。色と流通経路で価格差が生じるカテゴリのため、購入時点の価格は必ず確認したい。
Elgato Wave Mic Arm LPとの違い|画角を取るか、リーチを取るか
在宅Web会議という条件でPSA1+の直接の対抗馬になるのが、ロープロファイル設計のElgato Wave Mic Arm LPだ。両者は同じマイクアームでも設計思想が正反対で、選択は「何を優先するか」で決まる。
| 比較軸 | RODE PSA1+ | Elgato Wave Mic Arm LP |
|---|---|---|
| 設計思想 | リーチと静音動作を最大化するスタジオ型 | 低い位置を通すロープロファイル型 |
| 水平リーチ | 940mm | PSA1+より短い |
| 対応マイク重量 | 94g〜1.2kg(下限を公表) | 下限の公表なし |
| カメラ画角への映り込み | 入りやすい | 抑えやすい |
| ケーブル処理 | アーム内蔵チャンネル(USB・XLR) | アーム内収納 |
| 対応天板厚 | クランプは55mm を上限とみなすのが安全 | 製品仕様を要確認 |
| 想定用途 | 収録・配信兼用、机の外側から回り込ませたい環境 | Web会議中心、画面に何も立てたくない環境 |
判断は単純だ。**カメラに映る画面の見え方を最優先するならロープロファイル型、マイクの位置決めの自由度と動作の静かさを取るならPSA1+**となる。PSA1+の940mmという水平リーチは、デスクの外側や背面にクランプを付けて回り込ませる設置を可能にする。デスク手前のスペースを1cmも譲りたくない環境では、この長さが効く。
逆に、モニターの前を横切らせたくないという要求が強い場合、PSA1+はリーチが長いぶん不利になる。この比較を含む4機種の一覧は在宅Web会議向けマイクアームのランキングにまとめている。
RODE PSA1+が投資に見合う人・見合わない人
見合う人:
- 手持ちのマイクが軽量(250g前後)または重量級で、対応レンジを買う前に数値で確認しておきたい人。下限94gを公表しているアームは少ない
- 会議中にマイクを動かしたときの軋み音を相手に聞かせたくない人。PCMagが旧型との差として明確に検証している唯一の項目がここだ
- デスクの外側・背面にクランプを付け、940mmのリーチで回り込ませる設置をしたい人
- USBマイクとXLRマイクを将来的に入れ替える可能性があり、どちらのケーブルも内蔵チャンネルで処理したい人
- 天板が25〜30mm厚の一般的なデスクを使っており、取付方式で悩みたくない人
見合わない人:
- Web会議のカメラ画角に何も映したくない人。ロープロファイル型を選ぶべきだ
- 天板が55mmを超える、または天板下のフレーム込みで挟み込み厚が増える机を使っていて、穴あけができない人
- レバー式のロックでアーム位置を物理的に固定したい人。PSA1+にその機構はない
- 予算を1万円以下に収めたい人。本機は国内実勢で2万円前後のクラスに位置する
アームに載せるマイク側の選定は別問題だ。RODE製USBマイクの中で在宅Web会議に向く1本についてはRODE NT-USB+の徹底検証で、生活音の拾いやすさまで含めて整理している。
よくある質問
Q. 旧PSA1を持っている場合、PSA1+に買い替える価値はあるか。
判断は載せているマイクの重量で決まる。マイクが700g以上あり、アームが任意の位置で止まっているなら、買い替えの主な便益は動作音とケーブル処理の改善に限られる。一方、700gを下回る軽量なUSBマイクを載せていてアームが跳ね上がる、あるいは位置が保持されないという症状が出ているなら、これは旧PSA1の対応重量下限(700g)を割っていることが原因であり、下限94gのPSA1+で構造的に解消される。RØDE公式データシートで両モデルの対応重量が明示されているため、手持ちマイクの実重量を量れば買い替え要否は数値で判断できる。
Q. 自分の机の天板が厚いが、クランプで取り付けられるか。
出典によって公表値が割れているため、**クランプの上限は55mmとみなして判断することを推奨する。**RØDEの現行公式ページはクランプ70mm・ねじ込み55mmと記載しているが、Best Buyが掲載する同社データシート、Best Buyの製品Q&A、B&H Photoの仕様欄はいずれもクランプ55mm・ねじ込み70mmとしており、旧PSA1のデータシートも後者と一致している。天板が55mmを超える場合は、天板に穴を開けるねじ込み台座を選ぶか、購入前にRØDEの国内代理店に問い合わせて確定させたほうが安全だ。なお天板の縁が斜めにカットされている机や、天板の下に補強フレームが密着している机は、厚みの数値以前にクランプが噛まない構造的な問題を抱えていることがある。実際に挟み込む部分の厚みと平坦さを先に測っておきたい。
Q. マイク以外にウェブカメラや撮影用ライトを吊るせるか。
物理的には可能だが、変換アダプターが必要になる。PSA1+のネジ規格は3/8インチで、5/8インチへの変換アダプターは同梱されているものの、カメラ・ライト系で一般的な1/4インチへの変換アダプターは含まれていない。国内ブログのゆるだむは撮影用フラッシュライト(約220g)を1/4インチ変換アダプター経由で取り付け、位置が保持されたと報告している。対応重量の下限が94gまで下がったPSA1+は、旧PSA1では扱えなかったこの軽量域に対応する。
Q. ショックマウントは付属するか。
付属しない。同梱されるのは本体・3/8→5/8インチ変換アダプター・デスクマウントクランプ・ねじ込みデスクマウント台座の4点だ。ショックマウントが必要な場合は別途用意する。RØDE公式は、ラベリア・モバイル・ワイヤレス・ヘッドセット型マイクとSM5ショックマウントを除く自社製マイクとショックマウントすべてに対応すると明記しており、標準ネジ規格の他社製ショックマウントも装着できる。なお対応重量の1.2kgはショックマウントを含めた総重量で判断する必要がある。
Q. 在宅のWeb会議で本当にマイクアームが必要か。
必要になるかどうかは、机に直置きしたときの症状で判断できる。打鍵時にマイクが振動を拾って相手に「カタカタ音がする」と言われる、口元とマイクの距離が遠くて声が小さいと指摘される、という2つの症状が出ているならアームの導入で解決する余地が大きい。PSA1+はラバー接点で机からの振動を絶縁する設計を公式が明示しており、直置きでは避けられない打鍵音の伝達を構造的に断つ。逆に、これらの症状が出ていないならアームは後回しにしてよい。
結論:クランプ55mmを前提に測れば、判断は数値で終わる
RODE PSA1+の評価は明快だ。対応重量の下限94gという公表値は、現行のUSBマイクを事実上すべてカバーし、旧PSA1で起きていた「軽いマイクでアームが跳ね上がる」という構造的な問題を解消している。リーチを120mm伸ばしながら自重を220g減らし、内部スプリングの減衰とネオプレンカバーで動作音を抑えた設計は、PCMagが旧型との比較検証で唯一明確な差として認めた部分でもある。
一方で、購入判断を止めるのはほぼ天板の問題だ。**RØDE公式ページの「クランプ70mm」を鵜呑みにせず、B&Hの仕様欄と旧型データシートが一致して示す55mmを上限とみなす。**天板25〜30mm厚の一般的な在宅ワークデスクであればこの議論は無関係で、どちらの方式でも取り付く。55mmを超える机、あるいは天板下にフレームが回り込む机だけが、購入前に実測を要する。
ロープロファイル型ではないためカメラ画角には入りやすく、ロック機構も持たない。この2点を許容できるなら、940mmのリーチと静かな動作、そしてUSB・XLR両対応のケーブル内蔵チャンネルは、数年単位で据え置く機材への投資として十分に成立する。
Your Next Investment
天板厚を測ってから買えば、あとは数年触らずに済む一本。
RODE Microphones PSA1+ プロフェッショナルスタジオアーム ホワイト PSA1+W
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現役マーケター・事業開発・ガジェットキュレーター
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どの記事でも「完璧な製品はない」という前提で書いています。向いていない人や合わない使い方があれば、必ず正直に書きます。